ワタモテのノベルゲーを作ってみた

ワタモテをテーマにした同人ノベルゲーって遊んでみたくはないですか?

私は遊んでみたかった。でもないようだった。だから作ってみようと思った。

試作品はこちらです

Twitterでお話をする方達とノベルゲーみたいなの作りたいよねというお話は定期的にあったのですが、作るためにはWindows用のノベルゲーエンジンを使うのが最も良い、と思っていました。

ただ私はMacユーザーなので、それではちょっと覚悟の決めようが変わってきます。

※今回は技術的なことばっかり書いています、難しくはありませんが、面白くもないと思います。誰かの役に立てばいいなという気持ちです。それとワタモテ全然関係ない内容です。

ティラノビルダーを選択しました

手元のスマートフォンのブラウザでも遊べるものがいいと思って、それまでの知識をリセットして調べました。

http://sekai1blog.com/android/872/

こちら参考にゲームエンジンにティラノスクリプト、作成ツールにティラノビルダーを選びました。

ティラノビルダーのダウンロードしたZIPファイルを展開するだけで、すぐに使えます。

スクリーンショット 2016-05-30 20.19.34

基本一番上のテキストという要素を使って、改行ごとにクリックすると先に進める文章が出てきます。

分岐

これだけでも一本道ノベルゲーとして雰囲気が味わえるのですが、分岐ボタンを使って、画面にボタンを表示させてみます。

分岐ボタンはどこに表示するかは画面上XYの位置を入力する必要があります。

見た目上重ならなければいくつでも作ることができるようです。

分岐ボタンをつなげた後は「停止」を入れないと選択肢にかかわらず、次のスクリプトへ進んでしまいますので、必ず停止を入れます。

分岐ボタンが押されると、いずれかのラベルの下のスクリプトに移行します。

分岐ボタンが二つあれば、二つの対応するラベルが必要です。

嫌なことは忘れて帰るがクリックすると、ラベルkaeruにジャンプして、次のテキストを表示します。

テキストの後にラベルcommonへのジャンプが入っているのは、これを入れないとそのまま続くラベルkakuninにスクリプトが移ってしまうためです。

kakuninへの移行を避けるために、commonというその先のスクリプトの開始地点のラベルへジャンプしています。

分岐で大切なのは、停止を入れること、処理が次の分岐にそのまま流れないようにその先にジャンプさせることです。

変数とフラグ

今回、フラグ、というこのようなゲームで必須のものを簡単に使いたいと思いました。

上の図では「変数設定 f.flag+1」というところでflagにポイントを加算しています。

flagという名前は変数に私がつけたもので、自由に作ることができます。

スクリーンショット 2016-05-30 20.36.44

変数管理で変数名と初期値を設定しておかないと、スクリプト内で変数設定は利用できません。

スクリーンショット 2016-05-30 20.21.17

最初の幾つかの分岐で変化したフラグの値を利用して、マルチエンディングにしています。

分岐はジャンプを利用します。

今回は9個のマルチエンディングを欲張って作りましたので、このように設定されています。

flagの数値が1か2かという実行条件を作り、それぞれのラベルにジャンプを9回させてます。

スクリーンショットを見れば、ジャンプ先に心当たりのある名前があるかもしれません。

これは、ちょうどその数値と同じでないといけないとかではないので、50未満はこっちのラベル、50以上はこっちのラベルなどとも設定できます。

このジャンプ先の流れとしては、後半のラベルnashiの部分を見ていただくとわかりますが、テキストを表示、改ページ(一旦ページが変わるテキストの設定です)、そして再度テキストを表示、そしてエンディングへのジャンプです。

次の分岐にそのまま流れないために、一つ一つきちっとエンディングのタグへジャンプさせます。

こうやって作ったものを再生させて確認したり、デバッグ(虫のアイコン)して詳しく確認して、完成したと思ったら青いバーにある右矢印のアイコンで「ブラウザゲーム」形式で書き出しを行います。

公開

書き出したものはWEBで公開するのが一番見てもらいやすいです。

書き出しを行ったフォルダをZIPするなどして誰かにメールで送れば、パソコンではブラウザで遊べますが、スマホで遊ぶには難があります。

http://b.tyrano.jp/tech/page/wcoco

このあたりを参考にGoogle Driveを利用されると良いかもしれません。

ただGoogle DriveによるWEB公開もこの夏にサービス終了してしまうということです。

そのような状況を考えるとFC2を借りるという選択肢の方が将来性はあります。

私は公開するためにオンラインストレージサービスのDropboxを利用しました。

DropboxでファイルをWEB公開することができるのは有料プランだけになってしまいました。

何か良い代替方法が出てくれると嬉しいところです。

感想

マウスがあればサクサクと作り始めることができるのでティラノビルダーはとても良いアプリだと思いました。

見た目も整理されていますし、イラストが用意されていればキャラクターの表示もできるようです。

事前にテキストなどは用意しておく、背景画もフリーなものでも統一感のあるものを用意しておくなど、事前にイメージに沿った素材を集めておくことが大事です。

ティラノビルダー上でそれらを作り始めるとキリがないので、テキストなども基本貼り付けなどして組み上げていくような方法をとれば完成までの時間は短縮できそうです。

そもそも難しいノベルゲーの作成が、このツールによって半自動的な意味で簡単になるということはないですが、ハードルが随分と下がります。

とにかく簡単なものでも一つ作れば、何ができるか、から逆算して、自分の作りたいもののイメージが膨らむはずです。

皆さんも是非作ってみてください。

喪96

もこっちってこういう子、ってそれだけを描いたお話でした。

もこっちなんて1ミリも興味なかった人は逆にこの5ページのマンガを読んでバカな子のお話なのかなと思ってから1巻読んでほしい、そんな気持ちです。

携帯を投げつける、明後日な方向にモテを意識する、1話とあんまりお話は変わんないですが、焦燥感のないもこっちって良いですね。

夜中に見たアニメの影響で、翌朝弟に「ほぇぇ」とか言って殺したくなる?って聞くような、そう言った幕間です。

あのエピソードって修学旅行編の直前話です。

登り棒には勝てなかったよ、ってそれだけのお話で、とってもワタモテでした。

もこっちの人生の物語

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(以下ワタモテ)って漫画は、どう説明したらいいのか、どう友人に薦めればいいのか分からない漫画です。

とにかく読んでみてって、それ以上言いようがないくて、私と同じように面白いって思ってもらえたらいいなって、神に祈るような気持ちで貸す感じでしょうか。

モテない女の子?じゃあいつか彼氏ができるの?

そのようなタイトルから想像されるような物語が今の所ないから、はっきりとこんなお話です、って伝えにくいのかなと思います。

物語の流れ

そんな大きな物語がないワタモテも今年(2016年)で連載5年、約100話、物語の内の世界では1年と6か月が過ぎています。

主人公黒木智子、通称もこっちを取り巻く変化はいくつもあります。

夏休み、新学期、学園祭、進級、修学旅行、体育祭、普通の高校生らしい時間がゆっくりと彼女の周りを流れていきます。

弟、母親、従姉妹、再開した中学時代の友達だけが物語の登場人物でした。

やがて友達とは言えないまでももこっちは学校でも会話する機会も増え、初期にあった閉じた感じは徐々に薄れていきました。

その中でもこっちの大きな成長のきっかけとなる大きな物語があったかといえば、大きなものは一つもありません。

もこっちの個性

特別に秀でた力もなく、人付き合いは苦手なのに、心の中にある自分のイメージは「面白い人」で、それを認めない周囲に心の中で悪態をつく。

実際に人前では物怖じしてしまって言葉が出てこない、スカートを握りしめて目線を外してしまう。

そのくせ一度優位に立ったと思えばスラスラと言葉が出てきて、心の中にある悪態を直接ぶつけてしまう、付き合う側からしてみればやりにくい人です。

対人経験の不足とか、頭でっかちで偏った知識から、とんでもないバカなことを言い出して周囲を困惑さえ、時には怒りさえ生み出します。

大きな成長のきっかけもなく、100話近い連載を重ねながら、そのもこっちの時にネガティブな個性は常に一貫しています。

ワタモテの物語の要点

このもこっちの個性こそ、ワタモテというギャグ漫画の最大の魅力です。

ワタモテという物語そのものと言っていいでしょう。

おそらく連載前からその部分はきっちりと用意されていて、その子供っぽい言動、こういうことは積極的にする、こういうことは忌避する、何が好きで、何が嫌いか。

状況に応じてそれを少しずつ引き出して、もこっちの個性の輪郭を描き出している、第一回目から最新話に至るまで、まさにその最中にあります。

もこっちを語るために、作者谷川ニコ先生は彼女のモノローグと限定的な登場人物とのやりとりで、作品世界を広げず丹念に丹念にその日常を積み重ねてきました。

物語の仕掛けによる大きなエモーションはありません、でも時々美しいエピソードはあります。

少しずつ、もこっちや、その取り巻く周囲の人が時間とともに成長していきます。

それを物語と呼んでも呼んでもいいですし、単に時間の経過と丸めてしまって良いかもしれないと考えています。

私たちだって、何かしら時間の変化だけでも出会いがあったり、成長したり、時々いいこと、悪いこと、そんな時間の積み重ねなはずです。

もこっちの人生の物語、ワタモテはそのほんの一部分を切り出したものとしてとてもリアリティがあります。

ナンバーガールとワタモテ

谷川ニコ先生の完結した4コマ漫画でナンバーガールという作品があります。

これは16人のクローン少女が全くの同一の個性から、それぞれ16人分の個性を獲得していく課題を与えられる所からスタートします。

日常系4コマと呼ばれるフォーマットで、16人の少女たちが楽しげに、時に殺伐として時間を過ごすうちに髪型など小さなことから個性を獲得していきます。

最終話では、全くの別人、とはなりきらないまでもそれぞれ役割分担ができるようにまで成長し、大きな物語はなくても大団円と呼べるものだったと思います。

こちらも谷川ニコ先生らしい、ブラックユーモアや、理不尽な言葉が生み出すギャグの連続で、ワタモテファンならきっと楽しめるはずです。読んでみてください。

話が脇道にそれてしまっているように見えると思いますが、ここで大事だと私が思うところは、ワタモテのもこっちの有り様と対になっているのではないか、というところです。

ナンバーガールが個性を獲得する物語であるのと、ワタモテが個性を変化させない物語である、ということです。

ナンバーガールは日常系4コマ漫画としてパターンを外していますよね、同一人物が16人出てくるという4コマ漫画というのは他にないと思います。

4コマ漫画というフォーマットで様々な実験的な手法が試みられている中でも、ユニークなものです。

ワタモテもまた実験的な側面を持つストーリー漫画ではないか、と思うところです。

修学旅行編、それ以降

修学旅行編以来ワタモテはぐっと面白くなった、そんな風に私は捉えています。

もこっちのクラスメイト、もこっちの友人と弟とそのクラスメイト、物語は様々なバリエーションを持ち始めています。

ピュアヤンキーの吉田さん、もこっちの弟に恋する変態シスターズ、もこっちをそんな人だとすぐに受け入れた田村さん、もこっちに性的な意味でつけ狙われていると誤解するうっちー。

そんなに沢山の登場人物が一気に増えました。

みんなそれぞれに、もこっちに引っかき回され、心穏やかでなくなるシーンが細かに繰り返し描かれ笑いを誘い、ギャグ漫画として大きな変化が訪れています。

でも、もこっちは変わりません。

毒づいたり、周囲を困らせたり、そうしておきながらも一人勝手に悩んでみたり。

物語としては大きく動きました。クラスメイトの中に友人と呼べる人ができ、昼食を共に食べたり、行き帰りの通学路で話をしたり。

読者にとってはとても大きなイベントです。あのもこっちに友人ができた!

でも、もこっちは一緒に過ごすのに居心地を悪く感じたり、吉田さんに怯えながらも無遠慮な言葉で怒らせてしまったり、変わりません。

もこっちの主観もある程度は描かれ、もうぼっちじゃない、という意識はあるようです。

でもそれが大きな成長を産んだかといえば、むしろもこっちの従来の個性がより際立つようになっています。

これは物語を作る上でのチャレンジかもしれない、そう感じています。

そして今までもこっちの個性を変化させない、その方針がブレることなく続けてこられたからこそ、際立つものです。

もこっちの頑なさ

もこっちはそんなことで頑なな存在です。

谷川ニコ先生もまた頑なです。何があってももこっちを変えようとしないのですから。

どれだけひどい目にあってももこっちは揺らぎません。

でも、谷川ニコ先生もそこまでもこっちを追い詰めることもなく、ユニークな優しさを持っています。

読者もまたワタモテを支える頑な存在です。そのゆっくりとした物語を支えて、楽しんで、もこっちを取り巻く環境に一喜一憂します。

私はこの物語の良さを伝えたい、そんな気持ちはありますが、もこっちに通じる内向性からうまく他の人にワタモテを勧めることができません。

それでももっと沢山の人にこの物語を知ってほしい、一人でも多くの人に楽しんで欲しい、そんな想いを私も頑なに持っています。

 

 

モテないし秋の終わり

 

 

喧噪社さんの画期

喧噪社さんの画期というのは下記リンクより喧噪社主宰コラムを参照してください。

ワタモテにおける画期について
http://kensosha.blogspot.jp/2015/11/blog-post_6.html
わたモテにおける物語構造について(連続ツイート転載)
http://kensosha.blogspot.jp/2016/02/blog-post_19.html

私は喧噪社さんのワタモテの画期という言葉こそ今のワタモテの変化を的確に表したものだと考えています。

ワタモテという物語のパラダイムが修学旅行編でシフトして、より積極的に面白いギャグ漫画として変化したものと考えています。

神回続き、というと語彙力の貧弱をあらわにしてしまいますが、神回続きとしか言いようがないんです。

喪95はそれがはっきりと実を結んだばかりか、ついに智子を見て、どんな人かわかっているというセリフまで出てきました。

どうして見つけてもらえないのか、という智子の孤独については、はっきりと終わりを告げた、そんな感慨があります。

とはいえ智子が見つけられている、という状態であると認識していない状態が仄めかされているのはとても重要です。

それに関連して、今回ちょっと考えたことだが、、、 パラダイム1のときは、智子自身が外の世界に適応しようとして苦心惨憺している。これに対し、パラダイム2では、智子以外の人物が、外部から智子の世界に触れて混乱する。
まるで異文明同士の衝突だが、この物語の場合、受け身の側のほうが外側にショックを与える、という構造になっている。パラダイム1では受け身側=世界、アプローチ側=智子であり、パラダイム2では受け身側=智子、アプローチ側=世界 である。(喧噪社主宰コラム わたモテにおける物語構造について(連続ツイート転載)より引用)

画期の最も重要な部分はここと考えます。単にぼっちでなくなったことではないのです。

もこっちの主観、もこっち被害者の主観

もう一つ、もこっちを見守る会の記事「私モテの作品世界、もこっちの主観説」

http://watamote.com/watamote-world-is-tomokos-subjective-view-theory/

こちらの記事も私は考える材料にさせていただいています。

先ほどの喧噪社主宰ブログの言葉を合わせれば、アプローチ側からの言葉が作中で語られるようになった、という大きな変化です。

特にうっちー、井口さんのキャラクター描写に顕著ですが、もこっち被害者の言葉が語られるようになりました。

従来のもこっち被害者、弟の智貴くん、小宮山さんについては、作中で語られ始める以前から智子をこういう奴と受け入れていた人の声です。

だから二人には主観の声はあらかじめ許されていました。

修学旅行黒木班は、黒木智子への接点がゼロの状態で物語が始まり「今までスルーしていたけど黒木さんは馬鹿だな」と受け入れるまでのプロセスがついに描かれ、それ以降は良かれ悪しかれ受け入れた人には内心の声を持つことが許されました。

大きく物語の幹である智子のパーソナリティには手を出さず、もこっち被害者の声を表に出すことが、ギャグ漫画としてワタモテを転がしていく原動力になっています。

田村さんのセリフは、その物語の構成について完全に言葉に出しきっています。

「ああー別にもう黒木さんのことわかってるし別にそうだとしても変に思わないけどね」

必要以上に心揺さぶられてるのかもしれません、前後の流れからすれば田村さんは察しが良い、ってキャラ付けの一環であるかもしれないですけど、それでもなお。

ここまで言ってて唐突に思い出しましたが、実は喪16のきーちゃんの涙って、これを先んじてやってるんですよね、あれ今何書いてるこれ見直しすべきなんじゃね?って思ってるのは内緒です。書き直すにはいささか紙幅が尽きました。

今後とか

最終回感、って、章の区切りには常に漂います。

今回も最終回っぽいって言葉を耳にして、その気持ちもわかるって思います。

智子には果たすべき目的や約束があるなど、そんな大きな物語を持たないワタモテのゆるやかな流れでは常にどこでも、中途半端にならずに物語は終わることができるでしょう。

ぼっちの女の子がクラスメイトに見出されるまでの話である、と定義しているなら程よい区切りでしょう。

私はたとえ2巻の最後、1年の2学期に向けて歩みだそうとする智子がワタモテの最後のページであったとしても、智子のことはずっと愛せますからね。

ただ今は、わかってくれる人が出来てよかったね、見出されて、理解されてよかったね、って言いたい気持ちでいっぱいです。

 

喧噪社主宰コラム http://kensosha.blogspot.jp/ ( @kensosha さま)

もこっちを見守る会 http://watamote.com/ ( @mokonymous さま)

参考にさせていただきました。ありがとうございます。